
レヴュー
封建領主制というあがらうことの出来ない時代の波の中で、運命に弄ばれながらも、底流に脈々と流れ続ける愛。
立場を変え、時を隔て、自己を律しながらも、決して壊れぬ愛の原点。
「お子は?」と聞く場面が2度出てまいりますた。
当然、今は人の夫となり父となっているであろうと思った人が、
まだ一人身であることを知った時の驚きと安堵。その安堵に、
自分がまだ相手を愛していることを知る一方、定めとはいえ、愛の無い契りをかわし子を設けてしまったわが身への悔恨。
二度目に聞いたときは、子が二人いますた。
彼女は、いまさら後戻りできないこともそれが当然の流れであることも素直に受け入れられるだけの大人になっていまする。
が、同時に、お互いが相手の子を宿すことはできなかったのかという、どうしても消し去ることの出来ない想い。
彼は同じ思いであることを告げ、最後に昔ながらの呼び方をしまする。「ふく」。藩主ご側女のお福殿、ではなく。
切り合いをして血だらけになって戻ったときに、身を案じてタタキにでてきた彼女が、
藩主側女の顔ではなく、ふくの顔に戻っていたのも感動的でありました。
江戸へ行く前の日、お嫁さんにしてくれと言いに行った。行くのが嫌で泣いていた、と打ち明ける彼女。
自分も後を追って会いに行った、が、邪魔されて叩きのめされていけなかった、と彼は本当は言いたいのであります。
口が動きそうになりまする。が、そうした言い訳をしないことが男としての、武士としての美学であり、必死にこらえまする。
また、僧籍に入ることを既に決した彼女に、余計な期待を抱かせ心惑わせてはならぬという思いやりもありまする。
彼女は、あの時会いに来てくれなかった、私は愛されてはいなかったという思いを、ひとつの踏ん切りとして、
江戸へ旅立って行った面がありましたから。俺も行ってほしくなかったと叫んで抱き締めることが出来ればどんなに楽であるか・・。
籠に乗って今生の別れをするとき、彼女は落涙を禁じえませぬ。が、彼は武士の美学として万感を胸にしまって、礼をして見送りまする。
想いを寄せ合う仲といえ、相手は藩主ご側女であります。が、だれもいなくなった小船の中で、彼は初めて船底に身を横たえますた。そこで映画は終わりまするが、
美学も男も捨てた彼は、はらはらと落涙するのであります。
切なく美しい映画でありました。
ストーリを作った人も、それを表情ひとつで演じきった人も素
晴らしい〜〜〜。
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